演奏会の選曲は毎回あたまを悩ませますよね
とくにオープニングに演奏する曲は演奏会の「顔」でもありますので非常に重要です
この記事ではわたしがおすすめする演奏会のオープニングにぴったりな曲を紹介します
選曲だけではなく、プログラムの楽曲紹介や、司会原稿の参考にしてみてくださいね
鷲の舞うところ(スティーブン・ライニキー)
グレード 3.5
演奏時間 約4:30
「鷲の舞うところ」はさわやかで雄大なファンファーレではじまり、オープニングから聴衆のこころを引きつけてくれます
耳ごこちのいいメロディが、これからはじまる演奏会の期待をぐっと高めてくれます
グレードも3.5と比較的やさしい楽譜ですので、幅広いバンドに演奏していただけます
曲の背景
「鷲の舞うところ」はアメリカ合衆国メーン州のアカディア病院の10周年を記念して委嘱され、2003年に作曲されました
アメリカの北東に位置しているメーン州は90%が森で、低くうねった山稜や、深い森と美しい水流の景色が広がる自然ゆたかなところです
タイトルについている空の王者の「鷲」は見た目や力強さから「自由」や「勇気」を感じさせ、アメリカ合衆国の建国からのシンボルです
この曲はそんなメーン州の雄大さ、美しさ、そして自由を表現しています
曲の構成
3部形式(A-B-A形式)のコンサート序曲です
冒頭はティンパニと金管のファンファーレとの掛け合いではじまり、間にはいる木管のグリッサンドは鷲が飛び立つ様子が目にうかびます
テンポが速くなるとクラリネットの軽快なメロディから、ホルン・テナーサックス・ユーフォニアムの中低音の優雅なメロディへとうつっていきます
中間部はクラリネットのゆったりとしたメロディから、気高い鷲のような堂々としたトランペットのソロへと受け継がれます
ベルトーンで盛り上がり、ふたたび軽快なメロディに戻ります
最後はホルンがパリッと締めてくれます
こちらはワシントンウインズさんの演奏です
フラッシング・ウインズ(ヤン・ヴァンデルロースト)
グレード 5
演奏時間 約4:00
冒頭の力強いティンパニからはじまり、最後まで疾走感があり一気に駆け抜けいく曲調は演奏会の幕開けにぴったりです
変拍子があり難しい部分もありますが、ぜひオープニング曲に選んでいただきたい1曲です
タイトルのウインズは「風」とも「管楽器」とも解釈ができるので、「きらめく(フラッシング)管楽器が奏でる風」といったところでしょうか
曲の構成
ティンパニのソロからはじまり、エネルギッシュな金管のファンファーレとの掛け合いへと続きます
テンポが速くなると、トランペットがtuttiで疾走感のあるメロディを奏でます
16分のリズムを刻んでいるスネアとハイハットがよりいっそう疾走感を演出してくれます
中間部のTRIOはテンポは変わりませんが、前半とはちがい木管がゆったりしたメロディを奏でます
そして変拍子でたたみかけるようなメロディで音符が上昇していき、ふたたびtittuのトランペットにもどります
codaにはいっても疾走感がとまることなくクライマックスを迎えます
ジュビリー序曲(フィリップ・スパーク)
グレード 5(4と表記されているものもあり)
演奏時間 約6:30
金管のキラキラとしたファンファーレからはじまるこの曲は、華やかでオープニングにふさわしい1曲です
オープニングには少し演奏時間が長いかなとおもいますが、いろんな曲調が詰めこまれたこの曲はあっという間に聴衆のこころにはいっていくこと間違いなしです
曲の背景
「ジュビリー序曲」はもともとは英国式ブラスバンドの曲「ゴールデンジュビリー」としてつくられました
とても好評だったため、「ジュビリー序曲」として吹奏楽用に編曲されました
曲の構成
ティンパニのロールから華やかな金管のファンファーレへとつづきます
コラール風の木管と金管の掛け合いがあり、3連符で徐々に盛り上がっていき冒頭のファンファーレにもどります
テンポが速くなると雰囲気がらっとかわり、まるでサーカスのような楽しい曲調になります
そして中音域の流れるような美しいメロディがトランペットへと引きつがれます
ふたたびファンファーレに戻り、クライマックスへと向かいます
こちらは東京佼成ウインドオーケストラさんのの演奏です
音楽祭のプレリュード(アルフレッド・リード)
グレード 4
演奏時間 約4:30
タイトルに「プレリュード(前奏曲)」とついているだけあって、演奏会の幕開けにふさわしい重厚感のある曲です
曲の背景
この曲はオクラホマ州イーニドのフィリップス大学で開催される音楽祭の25周年を記念して1957年に作曲されました
日本では1970年に全日本吹奏楽コンクールの課題曲に選ばれ、リードさんの人気のきっかけになりました
曲の構成
荘厳な金管のファンファーレからはじまります
木管のユニゾンのメロディと金管・ティンパニとの掛け合いがあり、3連符で少しずつ盛り上がってきます
曲の中では3連符が効果的につかわれており、テンポがめまぐるしく変わります
終盤の高らかに歌いあげるホルンのメロディが、これから始まる演奏会への期待を高めてくれます
こちらは東京佼成ウインドオーケストラさんの演奏です
WELCOME(8ビート)(真島俊夫)
グレード 3
演奏時間 約4:30
日本における吹奏楽の代表的な作曲家、真島俊夫さん明るくノリのいいポップス曲です
「WELCOME」のタイトルのとおり、お客様をお迎えするのにふさわしい曲です
ゆったりとした木管のメロディからはじまりますが、8ビートのリズムになってからは気分が一気に高まっていきます
こちらは大阪市音楽団さんの演奏です
吹奏楽のための序曲(坂田雅弘)
演奏時間 5:40
金管が華々しく響くこの「吹奏楽のための序曲」は、まさにタイトルどおり吹奏楽の演奏会の幕開けにふさわしい1曲です
曲の背景
2000年度の全日本吹奏楽コンクールの課題曲ですが、作曲されたのはこれより11年前の1989年だそうです
(坂田先生は1970年生まれなので、こんなかっこいい曲を19歳のときに作曲されたなんてびっくりです)
作曲してから課題曲になるまでの11年間は吹奏楽からはまったく離れていたそうです
「課題曲募集の要項に目がとまらなかったら、今でも吹奏楽とは無縁のままだったかもしれません」とインタビューで語っておられたのですが、人生なにが転機になるかわかりませんね
曲の構成
キラキラとした木管の細かいパッセージから、パワフルなトロンボーンにトランペットも加わります
6/8のリズムがこの曲の躍動感をいっそう引き立ててくれます
木管が奏でるメロディーの裏ではトランペットがウヨウヨと細かい連符を吹きます
(直管のトランペットが木管を追い越さないように演奏するのはなかなかの技術がいりますね)
中間部は落ち着いたサックスアンサンブルからトランペットのソロへと受けつがれます
トランペットソロは音域が低い部分もあるので、テックニックと表現力が必要です
ふたたび冒頭のファンファーレに戻り、終わりに向かっていきます
全体的に金管が大活躍する曲です(とくにトランペット!)
こちらは大阪市音楽団さんの演奏です
市民のためのファンファーレ(アーロン・コープランド)
演奏時間 約3:30
金管とパーカッションのみですが、ドラマチックな演奏会の幕開けを演出するのにふさわしい1曲です
曲の背景
指揮者ユージン・グーセンスの依頼により1942年につくられた、金管と打楽器のためのファンファーレです
(グーセンスは18人のアメリカの作曲家に依頼しましたが、今現在も演奏され続けているのはこの曲だけです)
第2次世界大戦に参加する兵士のためのファンファーレを依頼されたのですが、コープランドは戦争のためではなく「市民のためのファンファーレ」をつくりました
この曲は後のオリンピックファンファーレの基になっています
こちらはニューヨークフィルハーモニーさんの演奏です
コンサートマーチ「テイク・オフ」(建部知弘/藤田玄播)
演奏時間 約4:00
「テイク・オフ」というタイトルのとおり、上昇していくさわやかなメロディのこの曲は、吹奏楽経験者の中でも非常に人気が高く今もなお演奏され続けている1986年度の課題曲です
マーチとしてはめずらしくゆったりとしたテンポではじまりますが、マーチテンポになってからはシンコペーションのリズムがこの曲のわくわく感を高めてくれます
そしてこの曲の聴かせどころはなんといってもホルンセクション!
マーチといえばいつもは後打ちばかりのホルンですが、「テイク・オフ」ではメロディーあり、裏メロあり、グリッサンドありで「ホルンのための曲」といっても過言ではありません
こちらは東京佼成ウインドオーケストラさんの演奏です
まとめ
いかがでしたでしょうか
演奏会の幕開けには、華やかな曲やファンファーレで始まる曲がぴったりです
オープニングで聴衆のこころをぐっとつかみ、すてきな演奏会を開催しましょう