合奏中、指揮者から「もっと歌って‼」「もっとこう表現して‼」などと指示されることってありますよね
そう指示されると身体を大きく揺らしてみたり、ビブラートをかけてみたりしてしまいませんか?
視覚的に音楽を表現することは大事ですが、その結果音程が安定しなくなったりアーティキュレーションが揃わなくったり・・・など音楽的にマイナスの方向にいってしまうことってあるのではないでしょうか
音って目に見えないものですので、指示する人も演奏する人も、それぞれの感性によってとらえ方がちがってきたりもしますよね
わたしは「音楽表現」についてあまり深く考えたことはなかったのですが、1冊の本に出会って考え方が180度変わりました
その本とは「豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門」(J.Ⅿ.サーモンド【著】/杉江光平【訳】)です
この本では「ノート・グルーピング」をすることによって音楽に表情をつけ、より豊かに演奏できるようになる方法が書かれています
わたしはノート・グルーピングというものを知り、この本を読み始めて3年ほどたちますが、正直本の内容は未だに1/3も理解できていません・・・(書いてることが難しいんです・・・)
ですがこの本を読み、今まで当たり前と思ってしてきた演奏を変えてみると、音楽を別の視点からとらえることができるようになり、自分自身の大きな成長につながりました
この記事ではわたしが「ノート・グルーピング」について自分なりに勉強し、理解したことを簡単にまとめています
わたし自身まだまだ勉強の途中ですが、音楽表現の方法に悩んでいるかたの助けになればうれしいです
ノート・グルーピングとは?
ノート・グルーピングとは、音楽をより表現豊かにするために「ノート(音符)をグループ化」することです
音符をグループ化し、フレーズをとっていくことで、曲に動きや感情を加えることができます
この「グループ化」をする時に弱拍(アウフタクト)からの流れを重視することによって前に進む音楽になり、より豊かな表現ができるようになります(と、わたしは解釈しました!)
日本人はアウフタクトが苦手?
音楽に携わっているのであれば
- 「弱拍」は弱い音をだす拍のことではない
- 「強拍」は強い音をだす拍のことではない
というのはもちろんわかっているのですが・・・
わたしたち日本人は「強拍が強い、弱拍が弱い」というリズムが潜在的に身についてしまっているそうなんです
それには以下のような理由があるからです
日本語にはアウフタクトの要素がない?
民族音楽学者の小泉文夫先生によると
「日本の伝統音楽には、西洋音楽のようなアウフタクトは存在しない」とのことです
その理由として
- 日本語には英語やドイツ語のように冠詞・前置詞がない
- 1字のみで意味をなす日本語はほとんどない
- 日本語には強弱のアクセントがない
ということが挙げられています
日本語は「アウフタクトをつくる言語の要素が少ない」ため、アウフタクトからはじまる音楽も生まれにくかったのでしょう
(もちろん現代は日本でもアウフタクトではじまる音楽はたくさんあります)
楽譜は奏者が読みやすいように書かれている
楽譜には小節線がひいてあり、細かい音符はきゅっとまとまっていますよね
これらは奏者が演奏しやすいように、視覚的に見やすくしてくれているのです
作曲者の意図のとおりに音符をならべると、非常にわかりずらい楽譜になってしまいます
小節線はただの線にすぎない
小節線=フレーズの区切りではありません
楽譜における小節線の役割は、五線譜上で拍子ごとの区切りを明確にするためのものです
また、楽曲のリズムを視覚的に理解しやすくするために重要な役割を果たしています
小節線がなければ、演奏者はどこを演奏しているのか迷ってしまうでしょうし、ほかの奏者と合わせることも難しくなってしまうでしょう
アウフタクトが苦手な日本人は、小節線のすぐ後の1拍目に重心をおいた演奏になってしまいがちです
表現豊かな演奏をするためには、小節線にとらわれないフレーズのとり方が重要です
※「ノート・グルーピング入門」中では、吹奏楽でもなじみのある「魔法使いの弟子」の楽譜を用いてわかりやすく解説してくれています
音符の連桁(れんこう)にまどわされない
楽譜上の連符はこのように書かれていますよね
音符と音符をつないで読みやすくしてくれています(赤く囲っている部分が連桁ですね)
しかし、この連桁がわたしたち奏者をまどわしてしまうんですよね・・・
ソファミレ ドソミド ラミドソ・・・とフレーズをとってしまうんです
そうすると、なんの面白みもない、機械的な演奏になってしまいます
しかし「ノート・グルーピング入門」を読めば音符の連桁は音符のグルーピングではない、ということがわかり
ソ ファミレド ソミドラ ミドソファ・・・とフレーズをとることがわかるようになります
(もっと細かいグルーピングがあるようなのですが、まだそこまで理解しきれていません・・・)
わたしの吹いているホルンは、曲の中で細かい連符がでてくることはあまりないのですが(教則本ではよくあるパターンです。上の楽譜もホルンの教則本の一部です)木管楽器は曲のなかでもこのような連符のフレーズはよくありますよね
フレーズを ソ ファミレド ソミドラ ミドソファ・・・のようにとって吹いてみてください
最初は戸惑うかもしれませんが、とても演奏しやすくなり、前に進む音楽を感じとることができます
※「ノート・グルーピング入門」中では、吹奏楽でもなじみのある「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の楽譜を用いた解説があります
まとめ
「ノート・グルーピング」とは、音符をグループ化しアウフタクトの音に意味をもたせることによって、前に進む音楽になり、より表現豊かに演奏できるようになる方法です
小節線にとらわれず、音符の連桁に惑わされずにフレーズをとるのは最初はなかなか慣れませんが、少しでもわかってくると、新たな音楽の表現方法が身に付き、演奏もとてもしやすくなります
興味をもたれた方はぜひ「豊かな音楽表現のためのノート・グルーピング入門」を読んでみてくださいね